泣ける、ただ泣ける。
さだまさしの名曲「風に立つライオン」をモチーフにした本作ですが、泣けてきました。
実際にアフリカで医療に従事した日本人医師の話から作られたこの曲。
この曲を聴いて医療を目指した人がいた。アフリカを目指した人もいた。そして大沢たかおは本作を企画した。
それだけこの曲には力があるんですね。
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ケニアの長崎大学熱帯医学研究所に赴任した若き医師 航一郎(大沢たかお)は、やがて戦地に近い病院へと派遣される。
そこで見た過酷な現実…
治療が終わった患者は故郷に戻ると、また戦線に復帰してしまう。
薬漬けで戦争にかり出された子供達が、大怪我をして次々と搬送され、生かすために手や足を切断されていく。
子供達の心と体のケアが必要だと、何度も戦地に戻る航一郎。
同じ日本人看護士和歌子と孤児院を作り、子供達とともに生活をするようになる。
それでも、なかなか心を開かない少年がいた。
絵がとてもうまいのだが、銃をもって人を殺すと言い張って、航一郎を拒絶するのだった。
「自分は人殺しだ、医者になんかなれるわけないだろう!」
しかし航一郎の熱意が、そんな少年を変えていく。
「お前は9人の命を奪った、一生をかけて10人の命を救うんだ」
子供達はやがて、孤児院を助けて行けるよう成長していくのだった。
だが、悲劇が航一郎に迫っていた…
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この先、ネタバレ注意。
冒頭の福島の震災現場に一人佇む黒人が、その少年だったのは途中で分かるけど、途中で時系列が入り乱れるので、順番に注意です。
アフリカの話は、今から30年ほど前のことだそうです。
さだまさしがモデルの医師に話を聞いたのがその頃だとか。
涙ながらに航一郎と少年が会話するシーンが良かった。
ワザと銃のオモチャを与えておき、少年が心から本心を訴え、航一郎が上述のように諭していく所で泣いたね。
そして、このままハッピーエンドを迎えるのかと思ったら、航一郎の前に落ちてきた手榴弾と、その後の血だまり。
もう1人の日本人和歌子も、その10年後にガンで死亡するとか。
かくも無残な結末なのかと。
で、エンディングにアフリカの台地をバックに「風に立つライオン」が流れると、ここでまた涙腺が緩む。
終演後パンフレットを読んだら、この曲のモデルになったお医者さんは存命とのことで、ホッとしたことを付け加えておきます。
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