『THE MULE 運び屋』(2019) ネタバレ注意
2011年87歳で逮捕されたコカインの運び屋レオ・シャープ
ニューヨークタイムズの記事を元にしたシナリオを読んだクリント・イーストウッドが、
「この役をほかの誰かに譲りたくなかった。ほかの誰かの演出で演じたくもなかった。だから両方を自分でやったのさ」
(パンフより)
退役軍人でデイリリーというユリの園芸家が、インターネットビジネスに破れて農園経営に行き詰まる。
その時に知り合ったメキシコ人から運び屋の仕事を斡旋してもらう。
しかも、87歳の高齢で安全運転、無事故、無違反で、麻薬の運び屋には到底見えない。
最終的には逮捕されるのだけど、同じ世代のイーストウッドには共感するものがあったのだろう。
「私は(自分の)爺さんが好きだった。あんなふうに年を取りたいと思った。それからだいぶ経った。私はあんな爺さんになれたかな・・・」
(パンフより)
これがイーストウッド監督が90歳になっても映画を撮り続ける理由なのだろう。
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退役軍人でデイリリーというユリの園芸家アール(イーストウッド)
仕事にかまけて家庭を犠牲にし、娘の結婚式も欠席し、家族から見放されていた。
農園を差し押さえられ、孫娘のパーティーに出席した際に知り合った男からカネになる仕事を斡旋される。
家族との仲を修復するために、運び屋の仕事を引き受ける。
大金を手にして農園を取り戻し、何回も仕事を成功させ組織のボスにも気に入られる。
しかし、妻の余命がわずかとなって、運び屋の仕事を投げ出して妻の死を見送る。
組織から、そして警察からも狙われるアール。
それでもこの老人は走りつづける。いったいどこへ向かって、なんのためにー。
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クリント・イーストウッド監督は、年相応な作品を作り続けてきた。
特に「グラン・トリノ」なんてのは、まさに晩年のクリント・イーストウッドだなぁ、と思っていたのですけど。
本作は、さらに輪をかけて、「老い」ということについて、問うている作品なのではなかろうか。
痩せ細り、背中が曲がっている。
しかしオシャレで軽妙なジョークを話し、時には自分の失敗例を若い人に語る。
「自分の人生を生きろ。俺のようになるな。俺の言うようにやれ。」と。(パンフより)
こういう爺さんになれるだろうか。
そう考えさせられた作品であった。
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